私は勿論「正義の味方」ではありません。ただの自分勝手な人間です。(笑)
死んだりしたら自分の気分が悪いので、首を突っ込んだだけなんで、「いい人」と勘違いしないように。
車を脇に止め、3人の方に近づいていくと、いかにも真面目そうで小太りのメガネをかけたまだ若いサラリーマン風の男性が「助けてー!」「助けて!殺される!」と叫んでいました。
俺は絵に描いたような「いかにも」の展開だが、「叫べてるから大丈夫か?」と、少し後悔しました。
引き返すのも「バカっぽい」ので、そのまま3人の中に入り込みました。
暴行をしている二人組も、本当に「勘弁してよ」って具合のヤンキー風の男達でしたが、昔のヤンキーと違い、センスがよく洗練されていました。(笑)
それに二人の顔を見ると二人ともなかなかのイケメンだった。
ただし暴行している人間にありがちな、目があっちに行ってしまってたんで「わざわざ来た甲斐はあったかな?」と、気を取り直せました。
俺
「おい、おい、どうしたの?」
ヤンキー風な兄ちゃんA
「うるせーぞ。関係ないから放っとけ!お前も殺すぞ」
俺は心の中で「いやいや、そいつまだ思いっきり生きてるし」と、思わず笑えてきた。
俺
「お前らさ、放っといてもいいけどさ、これだけ車の通りがあれば誰かが警察呼ぶからすぐ警察来るぞ」
「その証拠に俺、車からお前らの暴行見てここにいるから」
表情が少し落ち着いたように感じたので更に話してみた。
「警察来てこの状態、即効、暴行罪適応だぞ。そん時、本当に君達大丈夫?」
「それにこの兄ちゃん、めちゃ血が出てるじゃん。見たとこ鼻血だからたいしたことないみたいだけどさ、目立つよ」
殴ってたお兄ちゃんの顔がまともになってきたなと思ったので、更に言ってみた。
「俺は別に正義の味方じゃないよ」
「ただ君が言うように、そいつを君らが殴り殺したらさ、見て見ぬふりした俺は気分が悪いんだよね。ただそれだけ」
ヤンキー風な兄ちゃんA
殴り続けてたヤンキー風な兄ちゃんAが更に落ち着いたのか
「別に本当に殺しはしませんよ」
俺は心の中で思った。「すごい!こいつ、ちゃんと会話できるヤツなんだ。よかった。」
この手の状態の人は会話が成立しない人も多いから。
絶対真似しないように(笑)
俺
「じゃあさ、とりあえずその首掴んでる手を放して息させてやりなよ」
ヤンキー風な兄ちゃんA
「あっ、あー」
ヤンキー風な兄ちゃんB
もう一人のヤンキー風な兄ちゃんBが俺の後ろから
「こいつがいきなり俺の車をおもいきり蹴ったんですよ」
と、真面目風な小太りのお兄さんを指差した。
俺「???」
「どういう事?」
ヤンキー風な兄ちゃんB
「あそこに止まってる黒のベンツ、俺のなんですよ」
俺「はい」
ヤンキー風な兄ちゃんB
「ちょっと見に来て下さいよ」
と言いつつベンツに案内された
ヤンキー風な兄ちゃんB
「ここなんですよ、へこんでませんか?」
俺「確かに足の跡がついてるよね」
ヤンキー風な兄ちゃんB
ヤンキー風な兄ちゃんAを指して
「それで、あいつがキレて」
俺「で、君もキレた(笑)」
ヤンキー風な兄ちゃんB
「俺の車だし・・・・」
俺「まっ、連れだけ犯罪者にできないしね」と笑った。
ヤンキー風な兄ちゃんA
「こいつ、女の為に無理して恐ろしいくらい働いて、やっと買った大切な車なんですよ。ローンもまだまだあるし」
俺
「友達思いだね、君(笑)・・・で、キレた」
ヤンキー風な兄ちゃんA
「いや、初めは『ちょっと待てよ』程度だったんですよ。
そしたらあいつが『おまえらみたいな社会のクズがいい車乗りやがって!横断歩道に出てるから邪魔だから蹴ったんだ!悪いか』って言うもんで、ムカついて」
俺
「真面目そうな彼がそんなこと言ったんだ?」
ヤンキー風な兄ちゃんB
「後で気づいたんですが、かなり飲んでるみたいで」
俺
「酔っ払って蹴ったってことね。で、あんな赤い顔してたのね」
言われると確かに酒臭かったような感じがしてきた。
俺「あれっ?彼どこ行った?君たちが殴ってた子」
ヤンキー風な兄ちゃんA
「あいつ逃げやがったな」
ヤンキー風な兄ちゃんB
大きな横断歩道を渡りきって向こうの歩道を歩いている彼を見つけた。
「もうあんなとこに」
俺
「あらまっ、あそこ真っ直ぐ行くと〇〇署だよ」
つづく・・・