このオオナムチ、言わずと知れた大国主神(おおくにぬしのかみ)ですね。
よく密教の大黒天と混同されますが、元々は別の神です。
大黒天はインドの神様であるマハーカーラが元になり、密教の天部神となったものです。
もう少しだけ説明をしますと、現在はバラモン教の流れをくむヒンドゥー教をインドの人の多くが信仰しています。そのヒンドゥー教の三つの柱となる神は「世界を創造したブラフマン」と「世界を維持するヴィシュヌ神」、そして「世界を破壊するシヴァ神」です。その世界を破壊するシヴァ神の分身の一つがマハーカーラですね。
よってマハーカーラは、戦闘・財福・冥府という3つの性格を持つ神と言われています。
その戦闘や破壊の側面では「血肉を喰らう」と言われる恐ろしい神でもあり、戦いに勝つ事を目的にした神でもありますね。(別の顔としてお台所の神様としての側面もあったようですね。)
一方、大国主命といえばイザナギ神、イザナミ神が日本の国を作った後、より具体的な国造りを少名毘古那神と行ったと言われる神様ですね。(国の経営、禁厭(まじない)、医薬などの道を教え)そして国が完成すると天照大神の血筋の者に譲渡したとされています。その血筋の者が後の天皇家につながるのだと言われています。
と言うことで、「神語」って聞いたことありますか?「真言」じゃないですよ(笑)
仏教ではなく、今回は神道ですね。
ずばり神語とは「幸魂奇魂守給幸給」
(さきみたま くしみたま まもりたまえ さきはえたまえ)
のことです。神道で最も重要な唱詞(となえことば)と言われているものです。
そして、この唱詞が実は先ほどの大国主大神(おおくにぬしのみかみ)ととても深いつながりがあります。
少し引用させていただきます。
つまり、大神さまがこの日本の国造りを成し遂げられたのは、幸魂奇魂のお助けがあったからこそである、ということです。
尊福公は、世の中で功業を成し遂げるにはこの神蹟に習い幸魂奇魂の神護を蒙ることが重要であり、誠を尽くして常に唱えれば、現世のご加護のみならず、幽冥での永遠の幸福をも得るとして、この神語を広められました。
大神さまに神習い、また神の御心に叶う暮らしをするならば、大神さまから必ず幸魂奇魂のお力を頂くことができるでしょう。心をこめて唱えましょう。
引用元 出雲大社紫野教会
http://www.izumo-murasakino.jp/index.html
と言うことで、長々と書いてしまいましたが、幸魂奇魂守給幸給は古事記や日本書紀に由来するもので長い歴史があり、その中で磨かれた格式を備えているものですね。
要するに、これを唱える事で神様から守られ、ご加護を受け取ることが出来るありがたいお言葉だという事ですね。
常日頃、日常の生活でもいつでも唱えてよいものです。と同時に、神様を拝む前後に唱えるものでもあります。
唱える時は「さきみたま くしみたま まもりたまえ さきはえたまえ」ですよ。
古神道系のお話なので、続いて大本教教主補の出口日出麿師の著書「生きがいの探求」に記載されている、今では有名な呪文となった「はるち うむち つずち」も書いておきます。
今ではロサンゼルスオリンピック(1984年)の体操競技で大逆転で金メダルを獲得した具志堅幸司選手が、演技に入る前に唱えていた呪文としても有名ですよね?
「はるち うむち つずち」
更によく一緒に唱えられるものが「かんながらたまちはえませ」という唱えごとですね。
こちらも大本教の最も短く最も大切な祈りの唱えごとと言われているお言葉ですね。
この意味は、簡単に言えば「神様のみこころのままに従いますので、もし神様の意に沿うなら、どうか神霊のご加護をいただきたい」でよいと思います。
「かんながらたまちはえませ」
今回はほんの少しだけ古神道にまつわるお話でした。
この流れであまり重くならないように気をつけて(笑)この続きを書いていくかもしれません。