「常に思った通りの結果が得られたら、どんなに素晴らしいことだろう」と、多くの人が思うのではないでしょうか?
同時に、現実にはどんなに頑張っても無理な時もあるし、頑張らなくとも上手くいくときは上手くいく。「結局なるようにしかならないさ。だから自然に任せるしかない」。多分、人生経験を積み重ねた年配の方のほうが、若い方よりこのように考えられる方が多いと思います。
もちろんこれも事実だと思います。しかし、もし景気が最悪の時に、あなたが何も保証がないお仕事をしていたり、お店や会社の経営をしていたらどうでしょうか?
公務員の方や潰れにくい組織に属していたり、リストラの対象にならない方、または社会が安定していたり、景気が良い時などでは「なるようにしかならないさ」の考え方だけでも生きていけるでしょう。しかし、派遣のお仕事で生計を立てている方、アルバイトやパートのお仕事で生計を立てている方、あまり経営が思わしくない中小企業にお勤めの方、資産がない個人事業主や資産がない中小企業の経営者の方達などが、何時もこのような考え方をしていては、景気が最悪の激動の時代には生きていくことはできないと思います。
通常の時でさえ多くの人がお店や会社などを開業しても10年も経たずに潰してしまいます。特にこれから始まる大激動の時代では、尚更、生き残るのは難しいでしょう。ではどうしたらよいのでしょうか?
ここで一つ「激動を生き残るためのヒント」になるお話をします。
ストックデールの逆説
ジェームズ・ボンド・ストックデール氏。彼はアメリカ海軍の軍人としてベトナム戦争に従軍し、捕虜として8年間を過ごしました。「必ず乗り越えられると信じる気持ち、これは絶対になくしてはいけない」と彼は言います。
1965年9月9日、北ベトナムへ飛行中、当時42歳のストックデール氏は操縦席から放出されました。
パラシュートで小さな村へ降下したものの、捕虜となってしまいます。その後、毎日毎日棒で打たれ、20回にも及ぶひどい拷問を受けては日々耐え抜きました。1973年に解放された時は拷問によって脚はボロボロ、肩は関節から捻じ曲げられ、背骨も折れていたようです。それでも彼は生き延びることができました。
彼は言います。「私は結末について確信を失うことはなかった。ここから出られるだけでなく、最後には必ず勝利を収めて、この経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにする」と。
多くの方達が死んでいく中、彼が生き延びられたのは、「明るい未来へ希望を持ち続ける信念」と同時に「決して辛い現実から目を背けず、一歩一歩日々の目的に向かう現実主義」、これらを持ち合わせていた為ではないでしょうか。
これは今日では「ストックデールの逆説」とも呼ばれています。
では同じ捕虜として日々過ごし、死んでいった方たちはどのような考え方をする人達だったのでしょう?
彼は言います。「それは楽観主義者だ。
まず、『クリスマスまでには出られるだろう』と考える。そしてクリスマスが近づき、クリスマスは終わる。
そうすると、『復活祭までには出られるだろう』と考る。そして復活祭が近づき、復活祭は終わる。
今度こそと、『感謝祭までには出られるだろう』と考る。そして・・・・」
こうしてどんどん心には多くの大きな失望が溜まっていき、そして死んでいった。
あなたはこのお話を聞いてどう思われましたか?
私自身の事で言えば、自分で独立して早何十年も経ちました。この間、何店舗かお店を経営したり、ビジネスをしたり、廃業したりしましたが、一度も赤字を出したことはありませんでした。バブルが崩壊して銀行も会社もバタバタ倒産してた時、誰もが「独立するなんて、頭イカレている?」って時でもありました。知り合いや友人たちは、バブルの時期には現在では考えられないほどあらゆるビジネスを拡大、拡張していき、そして崩壊とともに自殺したり、夜逃げしたり、そんな時からの独立でした。
たいした事業をしてきたわけではないのですが、ただ「独立して自分の力で生きていく」、このことに関しては大多数の人よりは経験も少なからず有ると思います。通常、お店を止めたとか言うと「潰れたんだ」と思われますが、自分で仕事をやっている人なら解りますが、これは正解ではありません。誰しも廃業した人たちの多くは「潰れた」のではなく「潰した」のです。この意味はご自分でビジネスを立ち上げ、そして廃業した一つのサイクルを経験した人なら解られるはずです。
私が今まで自分でビジネスをして生きてきた中、一番大切にしている考えがあります。それは自分の想定した考えの「最高と最悪の狭間で落ち着く」といったものです。そして、自分でビジネスを始めて上手くいかずに去っていった多くの方は、「最高のことだけしか考えずにいた楽観主義の方が多かったな」と思い出されます。
この意味をもう一度よく考えてみて下さい。必ずあなた自身、あなたらしい生き残る為の「思いと結果をシンクロさせる術」が身についてくるはずです(笑)