記憶は歪められたり、作り上げられたりします。
以前、こんな内容の話を読んだことがあります。
「大人になった今でもフルートの演奏を聴くと、祖父が白い手袋をはめてフルートを吹く姿が浮かんでくる。しかし、私が生まれた時には祖父は既に亡くなっており、祖父が手袋をしてフルートを吹いている姿を私は一度も見たことがないはずなんだが・・・。
このことについて、私は何度も考察した。祖父の幽霊を見たのかとも思った。そして辿り着いた答えが、私が子供の頃から、祖母が祖父の形見のフルートと白い手袋を見ながら『お祖父さんはいつもこの手袋をはめてフルートを吹いていたんだよ』と、私に話していたという祖母からの話であった。だからこそ、幽霊を見たのではなく、イメージしていたことが記憶に焼きついたのではないか?というものだ」
かなり以前に読んだものですが、だいたいこんな内容だったと思います。

実際に体験していないことでも、何度もイメージしていると、本当に体験したことのように記憶がつくられたり、実際の体験とは違う状況をイメージし続けることで、実体験とは異なる「想像」を記憶として覚えていたりすることもあるようです。
更に、記憶とは「いい加減」なところがあり、在りもしないことさえも生み出してしまうこともあると思います。

一つの例に過ぎませんが、私が若い頃に体験したお話を書いていきます。

つづく・・・