人も、もちろん動物です。ここでも何度も書きましたが、人の脳は「動物の脳が増設されて進化した」みたいなものなので、当然人である為に多く使用されている大脳の奥には「動物時代の脳」が存在しています。

どんな生物でも大体が脳の構造は「脳幹」「小脳」「大脳」からできているようです。
ただ、その占める割合が異なり、魚類、両生類、爬虫類では、脳幹が脳の大部分を占めていますね。
この脳幹は本能的な行動を司っている脳で、「反射」や「獲物を獲る」「交尾する」といったことが主な役割りとなっています。

「脳幹網様体賦活系」は自分にとって必要な情報だけを無意識に拾い取り、自分にとって必要でないと思う情報は無意識に捨て去っています。要するに「自分には必要」だと思う情報は気づくことができるが、「自分には必要でないもの、関心のないもの」は省いてしまったり、気づくこともないということになります。

こうした機能は、動物が「生きる為」に必要なものだけを本能的に掴み取るための機能だと思います。人も動物である以上、無意識にこの機能が働いてしまいます。

「脳幹網様体賦活系」の話でよく使われるのが、自分が「欲しいと思うもの」ができると「今まではあまり見かけなかったのに、最近よく街で見かける」なんてお話しがあります。
これは「なるほどね」と気づくのですが、他のお話だと気づかない事も多々あります。
占いや霊感などで「あなたのラッキーナンバーは3です」と言われると、やたらと至る所で「3」の数字が気になったりします。
今まで数字など自分とは関係ないところにあったものが、急に至るところで認知し始めます。

例えば、引き寄せの法則を実践する考えの中で次のようなものがよくあります。
「では、実際に引き寄せの法則を使ってみましょう」「例えば黄色い蝶を引き寄せてみましょう」
「一日に3度、あなたは黄色い蝶を引き寄せます」
「それは本当の黄色い蝶だけでなく、絵でも写真でもいいので、一日で3度引き寄せてみましょう」
するとその日のうちに黄色い蝶を何度も見ることになります。

「ゾロ目の数字を見る」のも同じ原理ですよね。
「ゾロ目は天使からのメッセージです」
「そのメッセージには天使が教えてくれる色々な意味があります」。
すると、ゾロ目を見つけ出します。

だからと言って「エンジェルナンバー」や「引き寄せの法則」を否定しているのではなく、こういった脳の機能を上手く利用しているんだなと思うだけです。
(もちろん別の意味が私はあると思いますが、今回は混乱するので触れません)

要するに、自分の「強い関心のある情報」を無意識が集めてくれるということです。

このような無意識の働き(一部)を知ると、欲しい情報に辿り着きやすくなったりします。
逆に、知らないで無意識の働きを放置すると「何で私だけこんな目に遭うんだろう?」と、都合の悪い事が起きてしまうかもしれません。

例えば、大きな病気に罹り、「健康が何より大切だ」と思い、常に健康でいたいと思う人がいたとします。
ここで常に「健康に強い関心」を持てば「健康の情報」が常に飛び込んできますよね。これはもちろん良いことですね。

しかし、「健康とは病気に罹らないことだ」、もしくは「病気ではないことが健康だ」と定義をしてしまえば、「病気にならないこと」に関心が向きます。
しかし、これは「病気にならないこと」と同時に「病気そのものにも関心を寄せることになってしまう」のです。
この意味、解りますか?(笑)
「病気」が気になると、「その病気にならない情報」、要するに「病気」の情報も必然的に集めてしまうという事です。

またはニュースや報道番組で「最近はとんでもない犯罪が増えてきました」「昔では考えられない凶悪犯罪者が増えてきた」「最近の世の中はおかしい」・・・コメンテーター達が皆言います。そんな報道番組ばかりを見ていれば、当然通常は「世の中おかしい」と感じ始めます。「世の中おかしい」と関心を寄せれば、「おかしい事」や「おかしい人達」の情報を世の中から集めてきてしまいますよね?

さて、更に利用するのにもう少し特性を知っていきましょう。

例えば「脳幹網様体賦活系」を使う際に必要なもう一つの特性は、「これは既に充分知っている」と思って話を聞いてしまえば、それ以上はその情報が入らなくなってしまうということです。
毛様体賦活系が働いて「これは知っている事なのでもう必要ない」と、情報を省いてしまうんですね。
人に教える機会がある時によく遭遇するのが「あっ、それ知ってます。以前、習いましたから」と言われることです。
知っているなら話は早いなと思い、「次の段階の事を説明しよう」とするとまるで聞いていないようで、「その事は知っているので、早く私の興味がある、私がまだ知らない別の情報を教えなさい」と言っているように感じる事があります(笑)。これも無意識の働きでしょうね(笑)

人が「知っている」と言った時、幾つもの段階があると思います。
言葉だけ聞いたり覚えたりした場合、その主体になる意味を知っている場合、それを他の情報と繋げて別の意味を見出した場合、更にそれを体験として知った場合など、深さがあり「知っていることだからこそ、別の気づかなかった見方や解釈がないのか?」「知っていることだからこそ、別の結びつきや使い方があるのでは?」と常に「復習したり、アンテナを張ってキャッチする」といった事が「浅はかな知識」を「深い知恵」に進化させていけると思いますが、いかがでしょうか?(笑)