この頃は霊的なことに捉われず、身体を鍛え、「もう鈍感になれたかな?」と思ってたら、今度はあまりに色々とシンクロニシティーが起きるので、「結局何かあるじゃん」と思い、仕方なく「霊的なものや不思議なことともう一度向き合わなければ」という試行錯誤の時期でもありました。
論理的思考と直感の対立。運や流れに従う事と自分自身で切り開いていくことの対立。「自分の中にあるあらゆる矛盾」と葛藤しなければいけませんでした。
故に「本物と思える霊的な人」を本気で求め歩いていたり、「こういった方面やそれと関連があると思われるもの」を本気で色々と学びだしていた時でもあります。
ですから「なんちゃって霊能者でも勉強になることもあるかもね」と、自分に言い聞かせました。(悪いんですが、Aさんが言う凄い先生というのは全く信用していませんでした)
そしてAさんに連れて行かれたのは、そこそこ立派なお宅でした。
この頃はあまり感じないような「鈍感な人」になっていたものの、やはりこの家から漂う妖しい雰囲気は自然と感じてしまいます。
さてさて、この霊能の先生、俺にどんな霊が憑いていると言うのかな?
頭の中で想像する。死んだ後も恨みを抱いてさまよう怨霊?土地などに憑りつく地縛霊?色恋沙汰での恨みと執着に凝り固まった色情霊とか?生きてる人の念からきている生霊なんて言うかもね(笑)。
蛇とか猫とか出てくるか?(笑)動物などの憑依霊とか?稲荷系とか天狗系とか?龍神系とかは言わないな、きっと(笑)
玄関には美しい、そして妖しげな雰囲気の女性が立っていて、奥の間に案内してくれました。
「おいおい、この女性、憑いてるじゃん。それも霊能あるよね」
「あらっ、稲荷系?」ってことは「物欲いっぱいの先生か?」「稲荷系は金好きだし、ホント高い物や良いもの集めるのが好きだからな」「それとも色情の流れかよ?」「どっちにしても嫌だな」「いかん、いかん、先入観はいかん。まだ会ってないし」
などと、まだまだ浅い知識や経験、更に鈍感になっているにも関わらず、心の中で色々と思いました。
そして奥の間に案内され、座らされました。そこにふくよかな、鋭い眼光の妖気が漂う中年女性が座ってました。
「霊能力者と思わしき女性」がその中年女性に向かって「先生、お連れしました」と言うと、私達の前からそのまま姿を消しました。
俺
心の中で「あれっ、何であの女性、このおばさんを先生って言ってるんだ?逆だろ?おばさんよりあなたのほうが上っぽいけど?」などとも思いました。
「まぁ、歳も違うし、人それぞれ事情があるよな」なんて思いました。
霊能先生
俺に向かっていきなり偉そうに
「何が知りたい?」
俺
心の中で
「別に、あなたに教えてもらわなくていいんだが、ここはAさんの顔を立てるのと、うーん、そうだ!やり取りの学習の為に・・・」
霊能先生に向かって俺は
「先生、私は将来が不安なんです。私の将来はどうなるんでしょう?教えてください。」と言いました。
心の中で
「普通はこんな感じのこと聞けばいいんだよね?」と思う。
霊能先生
数珠をじゃらじゃらさせながら、何だか意味不明の呪文を唱える。
「・・・・ソワカ・・・・・、ナマク チチリヤ ジビキャナンタ タタギャナンタ、オン、マカシリエソワカ」
俺
「うーん・・・間違えて覚えてる?いやいや、忘れたから混乱してるんだ」もちろん言いません。心の中で。
霊能先生
「えーいっ!」
「お前には二つの道がある。一つは光り輝く道、高貴な霊格の者が導く道。
もう一つは・・・・・・・・・」
突然この霊能先生大声をあげる。
「おー!怖い怖い!」
「なんてことだ!お前には細胞の隅々にまで霊が入り込んでおる。」
「時間をかけて取らないといかん。お前のような真面目で気の弱い奴は廃人になってしまうぞー!おー狂う、気が狂うー!」
「そうだ、もう一つの道は、このまま何も手を打たず、見過ごす道だ。」
「そう、それは・・・・おー恐い、地獄じゃ。地獄じゃ、怖い、恐い、おー怖い」
俺
失礼な「おばば」だな。「お前の方が怖いわ」と、心の中で思いつつ。
しかし「真面目で気の弱い奴の印象」はちょっと嬉しかった。
何故ならこの「霊能おばば」を紹介してくれたAさんは、先ほど言ったとおりバイト先で知り合った年上で本当に「真面目で気のよわーい方」ですから。
私も何かあると「すみません」を連発して、なるべくAさんと同じような「真面目な気の弱い奴」の印象をAさんに持ってもらいたかったからだ。
(同じだと思えば安心ですからね。お互い仲良くできて働きやすいでしょ?)
「霊能おばば」は多分、気の弱い真面目な印象だとAさんから聞き出してたんだろう。Aさんも気が弱く真面目だし、類友の法則で確信持ったんなだな(笑)「浅いなー、おばば」と、若造の俺は想像してみた。
俺
霊能おばばを真剣に見つめ
「先生、じゃあ僕はどうすれば助かるんですか?教えてくださーい」
と、霊能おばばに言った。(うーん、こんな感じに聞いて欲しいのかな?と、心の中で笑う)※俺ホント性格悪い奴でしたね(笑)
つづく・・・